埼玉県の工場立地、高水準続く(NK2012/10/30)


埼玉県の工場立地、高水準続く 1~6月、交通インフラ寄与 

2012/10/30 23:01
 経済産業省が発表した2012年1~6月の工場立地動向調査によると、埼玉県内の工場立地件数は前年同期比1件増の16件だった。件数は全国7位で高水準が続いている。県内では首都圏中央連絡自動車道(圏央道)など交通インフラ整備が進み、企業進出が活発化している。
 関東経済産業局管内の1都10県では、北関東自動車道が全通し交通利便性が大きく向上した群馬(31件)、新東名高速が開通した静岡(23件)に次いで3番目。立地業種を見ると、埼玉は食料品が最も多い。消費地に近い特性を見て投資する企業が多いとみられる。
 経産局は立地企業名を公表していない。ただ埼玉県によると、桶川東部工業団地に進出した菓子製造のグレープストーン(東京・杉並)、ビッグヒルズ飯能大河原に立地した断熱材製造のデコス(山口県下関市)、電気機器製造の新電元メカトロニクス(飯能市)などが含まれるとみられる。
 活発な企業進出の背景にあるのは、圏央道などインフラの整備だ。4月に北本市に工場を開設した江崎グリコは「北海道や福井の工場を集約する際、高速道路の整備が進み消費地にも近い埼玉を選んだ」と話す。
 工場に限らず、物流施設なども含めると埼玉への企業進出は加速している。県がまとめた7~9月期の企業立地実績は21件で、四半期ベースでは2008年1~3月期以来4年半ぶりの水準となった。今年1月から既に57件が決まり、しまむらやSGホールディングスが東松山市内に開く物流センターなども含まれる。県は「官民が工業団地の整備を進めてきた効果も出ている」と話す。
 ただ、物流施設は広さの割に従業員数が限られ、雇用の創出効果や経済波及効果が製造業の工場などに比べ小さい。「企業誘致は埼玉も熱心だが、群馬などそれ以上に熱心な県もある」(関東経産局)との声もあり、より積極的な誘致活動が求められそうだ。
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埼玉県、デコス、江崎グリコ、SGホールディングス、新電元、しまむら

スマホ情報流出1000万件以上(NK2012/10/31)


アンドロイド標的 ウイルス、170倍に

 基本ソフト「アンドロイド」を搭載したスマホを巡っては、コンピューターウイルスに感染する被害が相次いでいる。セキュリティー会社「トレンドマイクロ」によると、アンドロイドに感染するウイルスの数は昨年末時点で1千だったが、今年9月末には17万5千と、約170倍に達した。
 特に今年は7月末から8月末までの1カ月間だけで11万を超えるウイルスが新たに確認されるなど、増加傾向が顕著。スマホでの通話内容や全地球測位システム(GPS)情報を勝手に送信してしまうアプリなどもあるという。
 一方、ソフトバンクやauの「iPhone(アイフォーン)」でこれまでに確認されたウイルスは2種類にとどまる。トレンドマイクロは「アンドロイドはiPhoneに比べてアプリの種類や購入サイトが多い。その半面、アプリの審査基準が緩くなっており、不正なウイルスが開発されやすい」と指摘している。
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トレンドマイクロ、アンドロイド、コンピューターウイルス、iPhone

【cf.】

情報流出アプリで5人逮捕 スマホから1100万件

スマホで子供あやす (NK2012/10/31)


スマホで子供あやす 対応アプリやケース好調

 スマートフォン(高機能携帯電話=スマホ)やタブレット(多機能携帯端末)を育児に活用する母親が増えている。未就学児が楽しめるアプリのダウンロードが伸び、子供向けケースなども売れ行きは好調。外出先でぐずったり、騒いだりする我が子をあやしやすい点が受けているようだ。
 タカラトミーエンタメディア(東京・中央)が企画した3~6歳児向けアプリ「ファミリーアップス」は昨年4月に配信を始めて登録者が順調に増え、現在19万人を超えた。絵本などのコンテンツを毎月配信。ピザ宅配などの職業体験ゲームも楽しめる。基本料金は無料だが、米アップル「iPhone」向けアプリの一部の絵本は250~450円だ。
 NTTドコモとベネッセコーポレーションが共同開発した無料アプリ「しまじろうひろば」は塗り絵やクイズなど0~6歳児向けの遊びを月替わりで楽しめる。累計ダウンロード数は9月末時点で約42万件と、半年間で約2.6倍に増えた。
 米玩具大手マテルの日本法人が6月に日本で販売を始めたiPhone用の「赤ちゃん専用iケース」(1995円)は入荷待ち状態。ハシートップイン(東京・墨田)も12月、「iPad」用に人気動物キャラクター「ラズー」をあしらったケースや鉛筆型などのタッチペンを発売予定だ。
 ベネッセが3月に20~40代の母親約2千人を対象に実施した調査では、スマホを利用する母親626人のうち52%が子供をあやすのにスマホを利用した経験があった。
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スマートフォン、育児、タカラトミーエンタメディア、NTTドコモ、ベネッセコーポレーション、タカラトミー、マテル

企業幹部には豊富な国際経験不可欠(NK2012/10/31)


IMD学長「豊富な国際経験不可欠」 

2012/10/31 3:30
 IMDが毎年発表している世界各国の国際競争力ランキングによると、日本の順位は1990年代初頭の1位から2010年に27位まで沈んだ。政治的リーダーシップの欠如や中央銀行の役割が果たされていない問題もあるが、日本企業の対応力不足も大きい。
IMD学長 ドミニク・テュルパン氏
IMD学長 ドミニク・テュルパン氏
 日本には生産的な労使関係や研究開発力など多くの強みもある一方で、高齢化や語学力不足、幹部人材の国際経験不足などの弱みも大きい。特に、日本企業は若手への教育には熱心なわりに、一定以上になると投資を止めてしまうため、幹部層への教育は不十分だ。
 だがグローバル化する企業経営では、リーダーに豊富な国際経験が強く求められる。好奇心を常に持ち、自信を持つことも大切だ。偉大なビジネスリーダーは楽観主義者であり、ストレスを感じにくい。そういった個人の特性には差があるが、適材適所で人材は使い分ければいい。
 欧米企業のオープンさと対照的に、日本企業は才能ある日本人以外の管理職にチャンスを与えていない。トップのポジションには本国の人だけでなく、外国人や現地人材も登用すべきだ。人材の多様性を確保するには明確な目標を設定する必要がある。出るくいを打つようなことはすべきでない。「日本は特異な国だ」という話もよく聞くが、それはどこの国でも同じであり言い訳にならない。
 現在IMDにも幹部候補の日本人が学びに来るが、それを上回るハイペースで中国人が来ている。このままではやがて日本は彼らの後じんを拝することになる。
 ドミニク・テュルパン氏 スイス・ローザンヌに本拠を置く世界的ビジネススクールのIMDでディレクターなどを歴任した後、2010年7月に学長に就任。パナソニックや花王など日本企業のグローバル化支援や人材育成にも携わってきた。55歳

自転車通勤、先進国で定着(NK2012/10/30)



先進国で定着、黙認は限界も

 交通政策提言を続ける特定非営利活動法人(NPO法人)自転車活用推進研究会(東京・杉並)の小林成基事務局長の話:
 自転車通勤者の増加は先進国共通の傾向だ。環境意識の高まりや健康志向に加え、原油高によるガソリン代上昇に対する生活防衛の側面もある。欧州の中では利用者が少なかった英国も2005年の地下鉄テロを契機に、経済的で安定した交通手段として定着した。
 日本人は健康意識が高く、東日本大震災後の交通混乱を経験して自転車通勤へのニーズはさらに大きくなった。多くの企業は就業規則で自転車を通勤手段として想定しておらず、黙認している状況。ただそれには限界がある。企業は事故への対応など、組織防衛上でもルールづくりが迫られている。
 自転車を利用する側も意識を変えていく必要がある。数千万台を保有する日本だが、利用のルールはあいまいな部分が多く、行政にも責任がある。自転車の役割を広げるためには、駐輪場や専用道の設置などを含めた環境整備が必要だろう。

ウクライナ議会選、東部、ロシア重視側が勝利(NK2012/10/30)



ウクライナ議会選、与党勝利へ 欧米との関係停滞も

 【キエフ=石川陽平】旧ソ連のウクライナで28日、最高会議(国会)選挙の投開票があり、ヤヌコビッチ政権の与党・地域党を含む政権派が過半数の議席を獲得し、勝利する見通しになった。ただ、欧州安保協力機構(OSCE)は29日、今回の選挙戦について「民主化の路線が後退し始めた」と政権側の不正を批判。ウクライナが目指す欧州との経済統合の行方にも影響しそうだ。
 人口約4500万のウクライナはロシアと欧州に挟まれた戦略的要衝にあり、両者の勢力争いの主戦場になっきた。
 最高会議選(定数450)は、政党別の比例代表と小選挙区の並立制で争われた。中央選管の集計によると、開票率70%の時点で、比例代表制で与党・地域党が33%を得票してリード。2位には欧州寄りで政権と対立し服役中のティモシェンコ前首相の野党連合「祖国」が23%で続く。
 3位には14%を得票している政権派の共産党がつけ、与党と合わせた得票率は5割近くに達する勢いだ。一方、野党勢は「祖国」に、著名なプロボクサーのビタリー・クリチコ氏が党首の「改革のためのウクライナ民主同盟(UDAR)」と極右政党「自由」を加えても、約45%にとどまる。
 小選挙区では与党がさらに優位に立つ。無所属候補も取り込み、共産党とも合わせた議席数は過半数に達するとの見方が多い。これに対し、野党側は「予想を超える不正行為があった」(クリチコ氏)として、与党が勝つ場合には共闘して抗議行動に訴える構えだ。
 今回も「東西分裂」の選挙になった。政権派は大統領の出身地でもあるドネツク州などロシア系住民が大半を占める東部と南部で支持を固め、特に共産党が得票率を伸ばした。与党・地域党も政府組織を通じた圧力や資金力を利用し得票。欧州志向の西部や中部が基盤の野党勢を上回った。
 OSCEの選挙監視団は29日、与党による行政圧力に加え、集計作業も「不透明だった」と指摘。昨年10月に禁錮7年の判決を受けたティモシェンコ前首相に関し「不正に選挙から排除された」と政権を批判した。欧州連合(EU)は11月中に開く外相会議で、選挙結果を協議し、対ウクライナ外交の方針を決める。
 今回の選挙で厳しい批判を受ければ、欧米との関係が一段と停滞しかねない。3月に欧州連合(EU)と自由貿易協定(FTA)締結など包括的協力を定めた「連合協定」に仮調印したが、前首相の裁判の影響で正式合意のメドが立たない。
 ただ、ヤヌコビッチ政権は「欧州との統合」を堅持し、ロシア主導の経済同盟への参加には否定的だ。欧米も権威主義的な同政権への失望感を強めるが、ウクライナがロシアの勢力圏に取り込まれる事態は避けたいのが本音で、双方に妥協を探る動きも出てきそうだ。
 問題はウクライナの資金力だ。13年には約400億フリブナ(約3800億円)の対外債務の支払いを迫られ「資金の出し手としてロシアに近づく可能性がある」(ポグレビンスキー政治研究紛争学キエフセンター所長)。ロシアはガスの供給価格引き下げも提示し、欧ロ間で「てんびん外交」を進めるヤヌコビッチ政権を取り込もうとしている。
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ウクライナ、欧州安保協力機構、ロシア、ヤヌコビッチ政権、ティモシェンコ、東西分裂

「買い物天国」、アジアで東京は8位 (NK2012/10/29)


「買い物天国」首位は香港 アジアランク、東京は8位 

【香港=川瀬憲司】アジアで最も買い物客を引き付ける都市は香港――。免税手続きサービス世界最大手、スイスのグローバルブルーが独自に算出した指数に基づくランキングを公表した。様々な種類の店舗が軒を連ね、レストランや観光スポットの多様性がある点などが高得点に結び付き、クアラルンプールや上海などを上回った。日本の都市では東京の8位が最高だった。
 同社はアジアの主要25都市を対象に、店舗、価格、利便性、ホテル・交通、文化・気候の5項目をそれぞれ100点満点で採点。平均点で順位付けした。
 その結果、香港が68.5点でトップ。店舗の項目で83.3点と他を引き離したほか、利便性と文化・気候でも高得点を挙げた。ただし、価格の項目では16位と低迷。高級ホテルの平均稼働率が8割を超え、滞在費を押し上げているためだ。
 2位のクアラルンプールは店舗の項目で香港に届かなかったものの、ホテルや食事など価格の低さが高順位につながった。5位のシンガポールを抑えた上海と北京は価格は香港並みに高いとの評価だが、ホテル・交通や利便性で得点を稼いだ。
 日本の都市では東京、大阪(18位)、名古屋(21位)ともに低位にとどまった。価格の高さが響いた。全体の最下位は、民主化と経済改革が進み、このところ急速に注目を集めているミャンマーのヤンゴンだった。

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Bos・NY・Wash(ボスニワシ)

【児童、生徒用】

2012年10月30日、東海岸をハリケーンが襲っています。

東海岸の有名都市は、Bos・NY・Wash(ボスニワシ)です。

ボストン(WP)

ニューヨーク(WP)

ワシントン(WP)

1806年の露寇(ろこう)事件は、第2の元寇

ロシアの交易ルート
サハリン、エトロフ、宗谷、斜里の基地
1800年前後、ロシアは、遠くアラスカ、アメリカ沿岸まで交易の拠点を広げていました。
次第に、海産物や毛皮の市場を日本にまで拡大することをねらいはじめました。

1793年、ラクスマンが日本人漂流民を届けに来がてら、通商を求めに、北海道にやってきます。
幕府は、長崎でなら通商が可能であろうと言い逃れの返事をし、長崎への通行証を手渡します。
ラクスマンは、「交易可」との多大の期待をもちながら、本国に指示を仰ぐために帰国します。

遅れて、1804年、 レザノフ(※1)が長崎に来航し、ロシア皇帝の親書をたずさえ、日本との交易を求めます。

幕府は、レザノフを長崎に半年間留め置きます。
半年後に、通行証を取り上げ、通商を拒絶し、追い返しました。

レザノフは、激怒し、本国で日本を開国に導くには、武力あるのみと進言します。

1806年 露寇事件が起こります。
レザノフの命によるものです。

「寇」 とは、外からの賊、外敵のことです。
元寇は、「モンゴル来襲」 のことです。

日本にとっては、第2の元寇、です。
徳川幕府にとっては、はじめての対外危機です。

ロシアは、日本領サハリンと日本領エトロフの幕府の施設を攻撃し、居留地、船を焼き払いました。

幕府は、津軽、南部、秋田、庄内の4藩から3000人をエゾチ(蝦夷地、北海道)に派遣します。
しかし、ロシアの襲撃はエゾチのあちこちに続きます。

斜里を守っていた津軽藩士100人のうち70人以上が寒さと飢えでなくなるという事件も起こります。(※2)

しかし、このあと、幸運なことに、ロシアの事情が変化しました。
エゾチ襲撃の首謀者たちが、独断で行動を起こしたとして、ロシア皇帝から身柄を拘束されてしまいます。
ロシア船はこのあとエゾチに現れることは、ありませんでした。

以降、徳川後期の繁栄はこのまま続き、歌舞伎、寄席、浮世絵、滑稽本などの町人文化が花開きました。

露寇事件の折、ロシアの政策に変化がなかったとしたら、日本はエゾチをおとしいれられ、欧米の艦隊もこれに習ったでしょう。
また、このあと50年間の泰平もなかったでしょう。



斜里【地図】

しれとこ斜里ねぷた 【1:01】

(※1)レザノフ:
レザノフ By WP
ロシア貴族。14歳の頃には5か国語をマスターしていたといわれます。
のちに露日辞書を著します。
露米会社の総代理人となり、北太平洋沿岸からアラスカにかけての地域の発展のためにと日本との通商を求めます。
幕府の通商拒絶への報復として、露寇事件を起こします。

(※2)「しれとこ斜里ねぷた」は、なくなった津軽藩士を慰霊するまつりです。

【年表】

1793  ラクスマン、北海道で日本との通商を要求。
1804  レザノフ、長崎へ来航。半年留め置き後、追放さる。
1806  露寇事件。

【追記】
・1806年の露寇事件から100年たって、日露戦争(1904-1905)が起こります。

【cf.】

山本博文、北の黒船 日露交渉、NHK
磯田道史、「鎖国」が守った繁栄、NHK

◇                    ◆                    ◇

【日本の危機】

ロシアは極東開発に日本の投資を期待(NK2012/10/28)


中外時評ロシアから吹く「暖風」 中国偏重恐れ、日本に誘い水 論説副委員長 池田元博

 尖閣諸島や竹島の領有権をめぐって中国、韓国が日本への攻勢を強めるなか、北方領土問題を抱えるロシアがこれに乗じて中韓と組み、対日包囲網を形成することはないのか。
 中国各地で過激な反日デモが続いた先月中旬。訪れたモスクワは平穏そのものだった。街中には日本車があふれ、書店には村上春樹氏らの翻訳本が並ぶ。そこここの日本料理店はモスクワっ子でにぎわっていた。
 「日本に対抗する中ロの同盟は決してできない。日本製品の信頼度は中国製よりずっと高いし、日本への尊敬の念もある。ロシアは中華料理より、日本料理のほうが人気が高いほぼ唯一の国だしね」。中国専門家のエフゲニー・バジャーノフ外交アカデミー総裁は笑った。
 ロシアの外交評論家も「中国から津波、韓国から台風が日本に押し寄せ、ロシアからは暖かい風が吹いている」(ユーリー・タブロフスキー氏)とし、プーチン大統領のアジア重視の外交もあって、日ロ関係は新たな可能性が開かれたと語った。
 尖閣諸島と違い、北方四島はロシアが占拠している。一方で竹島の領土交渉を一切拒否する韓国と異なり、ロシアは領土問題の存在を認めている。
 もともと立場は違うものの、ロシアではいま、中韓に同調して「反日」に動く気配は全く感じられない。むしろ、中韓と日本の緊張をうまく利用し、日ロの関係改善につなげたいというのが本音のようだ。
 実際、パノフ元駐日大使らがまとめた日ロ関係に関するロシア国際問題評議会の提言は、日ロ関係の発展が「ロシアの国益にかなう」と指摘。日本で中国脅威論が高まり、ロシアの東方外交で中国偏重が強まるなか、「ロシアが巧みな外交努力をすれば対中、対日政策を均衡させることができる」とした。
 中ロは表面的には親密とはいえ、ロシアでは中国への不信、とくに極東開発における中国依存への警戒感が強い
 中ロ関係に詳しい高等経済学校のアレクセイ・マスロフ教授は「ロシア極東の産業の30~35%は中国資本の管理下にある。食品など戦略分野では、中国の投資制限が必要だ」とし、過度の中国依存に警鐘をならす。
 そこで浮上してくるのが、日本への期待だ。極東発展省のサナコエフ次官は「我々は極東に中国ゾーンをつくるつもりはない」と述べ、製造業や加工業、インフラ分野での日本企業の投資に期待を示した。
 プーチン大統領自身、先月はマツダがウラジオストクで進める自動車合弁工場の開所式に飛び入り参加した。同地でのアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議の際の日ロ首脳会談でも、ウラジオストクの液化天然ガス(LNG)基地の建設計画など、極東における日ロ経済協力の進展を歓迎した。
 極東の深刻な人口減に歯止めをかけ、地域を活性化していくには、外資誘致による雇用創出が急務だ。プーチン政権がとくに日本の製造・加工業の進出を求めるゆえんでもある。
 今後、外資の極東進出を促す方策が課題となるが、先に来日したシルアノフ財務相は「政府内で検討中」としつつ、具体策として税制優遇措置の導入と自由経済特区の設置を挙げた。
 税制面では、更地に工場を新設する外国企業に対し、初期の一定期間は法人税や固定資産税を免除する方向だ。自由経済特区は「中国に近い沿岸地域で、木材や水産加工などの分野」を想定するが、効果の是非をめぐっては異論もあるという。
 日ロ間では11月に政府間の貿易経済委員会、12月には野田佳彦首相の訪ロが予定される。極東開発を中心とする経済協力が当面、焦点のひとつになるはずだ。ロシアからの「暖風」をどういかすか。日本としても真剣に検討していくべきだろう。
 ロシアは世界有数の資源大国で、中間層が台頭する大きな消費市場のひとつだ。半面、汚職や腐敗、煩雑な行政手続きといった問題がビジネスの大きな障害になっている。日ロがビジネス環境の整備に取り組み、双方の利益となる協力を進めることは、決して国益に反しない。
 確かに、経済協力の進展が北方領土問題の解決に結びつくわけではない。とはいえ、日ロが良好な関係を築いておくことは領土交渉への環境づくり、さらには中ロの「反日」同盟を防ぐ予防線となるはずだ。「暖風」を放っておけば、「寒風」にいつ変わるか分からない。
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プーチン、極東開発

観光振興には買い物を便利に(NK2012/10/28)


買い物をもっと便利に 三越伊勢丹HD会長 石塚邦雄氏

 ――なぜ、観光が日本の成長戦略の一つに挙げられているのでしょうか。
 「訪日外国人旅行者を1000万人と想定した上で、日本人の国内観光も活発になり、さらに国際会議の開催が増えるという前提で、国内の観光や消費の総額が30兆円に達するとの試算がある。観光業や小売業は労働集約的な産業のため雇用吸収力も高く日本経済を支える力になる
 「中国や韓国などアジアからの観光客の来日目的を聞くと上位に買い物(ショッピング)がくることが多い。旺盛な消費意欲にこたえなくてはいけない。百貨店での海外旅行者の買い物金額は約400億円で全体の1%にも満たない。フランスの著名百貨店では50%近いという。買い物の利便性を高める必要がある」
 ――なぜ、それほど低いのでしょうか。日本はそれほど買い物がしづらいのですか。
 「販売員と言葉が通じないという指摘はよく聞く。免税の対象商品の幅も狭く、化粧品は対象外だ。中国や韓国では日本の化粧品の人気が圧倒的に高く、免税対象となればもっと買っていただけるはずだ」
 「一般的に家電製品などの免税手続きも煩雑で、利用者に迷惑をかけてしまうこともある。小売店側もその処理に手間暇がかかっている。三越や伊勢丹の主力店舗ではコンピューターによる免税手続きのシステムを採用した。これだけ電子化が進んでいる時代にもかかわらず、国内では商品名や金額などを手書きで記入する伝票がいまだに存在する。手続き中にイライラが募った買い物客が返金を待たずに立ち去ることもある」
免税手続き簡素化必要
 ――消費税率が5%から8%、そして10%になったらどうなるのでしょうか。
 「5%の負担なら面倒な免税の手続きをしない外国人はたくさんいる。税率が引き上げられたらそうはいかないだろう。返金を求めて免税のカウンターは混乱する。こんなことで外国の人にも痛税感を与えてしまうことになる」
 「免税手続きは店舗(免税店)で行う『館主義』であり、その場で払い戻しを受ける。欧州などのように小売店で申請シートを受け取り、空港などで出国時に申請して帰国後に返金を受ける仕組みも必要ではないか」
 「今のやり方のままだと、日本に行きたくないという人が出てくる。免税の手続きだけで国際格差があり、せっかくの成長の機会を逃してしまう。海外から多くの観光客が来て小売業、観光産業が潤うことで税収増を実現すべきだろう。企業経営の観点からはコスト削減も欠かせないが、やはり売り上げを増やすことで成長シナリオを描くことが大切だ」
 ――日本に外国人観光客を呼び込む秘策はありますか。
 「地域を限定してエンターテインメント、劇場、コンベンションセンター、カジノ、ホテルなどを一カ所に集めた統合型リゾート(IR)と呼ぶ大型施設があってもいい。カジノというとマイナスのイメージがつきまとうが米国の例ではIRの施設でのカジノの売上高比率は数%程度にすぎない。IRなら家族がみんな楽しめるだろう」
 ――計画通りの訪日外国人旅行者数は実現可能でしょうか。
 「省庁連携と同時に、我々民間も海外からの誘客に真剣に取り組むためのオールジャパンの体制を築いていくべきだ。そのためにはもっと具体的な工程表を作り、フォローアップなどきめ細かな対応が必要だ。成長戦略にもかかわらず政府の事業仕分けの対象になるなど、ちぐはぐだ」
 「アジアの国の中では、日本より世界遺産が少ないマレーシアなどに観光大臣がいる。観光に携わる政府職員も1000人規模だ。世界に張り巡らせた拠点数も多い。みんなでもっと観光立国の本気度を示すべきだ」
 いしづか・くにお 72年東大法卒。三越入社。08年、伊勢丹との経営統合で発足した三越伊勢丹HD社長。12年から現職。63歳。
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