2017/6/28付 nkを抜粋編集
安倍政権が成長戦略の柱の一つに掲げる地方創生の理念が揺らいでいる。今月策定した新たな基本方針が目玉に据えたのは都心の大学の定員抑制と商店街の空き店舗への課税強化。いずれも国による規制強化を伴うもので、自治体の創意工夫を支援する当初の方針は風前のともしびだ。
地方創生は2014年に成長戦略の一つとして打ち出し、内閣府に100人規模の大所帯を新設。最大の柱は自治体が独自に策定する活性化策を国の新型交付金で支援し、地方の創意工夫の喚起を狙った。安倍晋三首相も「地方自らが政策目標を設定し、やる気のある地方の提案を競ってもらう」と訴えた。
だがあれから3年。東京23区内にある大学の定員を抑制し、強制的に地方の若者が都心に集まらないようにし、課税強化をテコに地方の空き店舗を意欲ある経営者への売却を進める――。自主性よりも、国主導で半強制的に地方への人口移動や企業参入を促す強い決意がにじんでいる。
背景にあるのは地方の自主性に委ねても事態が改善しない実態がある。
地方からの創意工夫のある提案はなぜ出ないのか。国の交付金は16年度予算で1000億円と想定の1700億円を大きく下回ったまま。「日々の業務で手いっぱいでアイデアを出す余裕はない」(自治体職員)のが地方の実情。
「これくらいやらないと地方創生にならないんだろうね」。危機感を強めた安倍首相は今春、方針転換をやむを得ないと判断。山本幸三地方創生相に国が主導して地方創生を進めるよう指示し、山本氏も「一極集中という『市場の失敗』では国の介入が許されます」と応じた。
規制強化は短期的には効果があっても長期的には政策効果が薄いという指摘は多い。第一生命経済研究所の永浜利広首席エコノミストも「経済成長の源泉である人やモノの集合を阻む強制的な資源分散は日本全体の活力をそぐ」とみる。
(悠)
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「地方創生」の宴のあと
2017/7/3付 nkを抜粋編集
◆最近「地方創生」という言葉をめっきり耳にしなくなった。安倍晋三首相が地方創生本部設置を表明したのは2014年6月。3年を経て文字通り泡と消えた。
◆田中角栄首相が打ち出した「列島改造」や竹下登首相による「ふるさと創生」など過去に一極集中解消や地方振興を唱えた政策は数あるが、「国の無策が人口減少社会を招いた」との声は巷(ちまた)にあふれている。
◆標語先行で腰の定まらない改革に世間の目は冷めている。国に頼らず自助努力に徹することが真の地方創生につながる。そのことを宴(うたげ)のあとに改めて思い知らされる。
(安西巧)
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【コメント 桑原政則】
箱根 彫刻の森美術館 フォトコンテスト
2017/07/04 箱根彫刻の森 美術館 |
東京一極集中をやめて、日本全体をよくしよう、との考えです。
魅力的ですが、これは、
おかみだよりの自壊した社会主義の考え方
です。
世界は激変中です。
高度な社会に対応できない社会は、見る間に衰退します。
鉄道、道路、通信などのインフラをしっかり備え、
東京だけでも、あるいはどこかの町の一箇所だけでも、民間で世界水準を超え続ける必要があります。
でないと、日本全体がだめになります。
(※ すぐれた江戸時代は、20ばかりの藩グループが独自性を発揮していました。)