2015年02月20日 片岡 利文
【引用、抜粋編集】
2014年12月、世界で初めてこの日本で、水素を燃料とする自動車が市販され、エネルギーとしての水素が、にわかに注目を集めています。
石油や天然ガスに頼ってきた社会のエネルギーシステムそのものを、がらっと変えてしまう可能性すら秘めています。
水素を酸素と反応させると、水ができますが、そのとき同時にエネルギーが発生します。
このエネルギーを燃料電池という技術を使って電気として取り出します。
二酸化炭素を出さないクリーンな発電システムとして注目されています。
2030年頃の理想的な水素社会を描いてみました。
各家庭が使う電気は家庭用燃料電池を使って水素から作ります。
バスや電車といった公共交通機関も燃料電池で動きます。
排気ガスも二酸化炭素もでないので、大気汚染や温暖化の防止も大きく進んでいることが期待されます。
それに支払う金額は1年で28兆円、国家予算に比べるとその3割にあたる額です。
世界に先駆け水素エネルギーを使いこなせれば、この状況を打開できるだけでなく、一転、夢のエネルギー大国への道が開けるのではないかと、期待が高まっています。
まず安全性の問題です。
というのも水素は強い爆発力を持ちます。
このため水素を使った燃料電池車や水素ステーションには入念な安全対策が施されていますが、水素社会を広げていくためには、それをより一層進めていかなくてはなりません。
そして、もう一つはコストの問題です。。
莫大な初期投資が必要です。
国や企業がその負担にどこまで耐えられるのか、余裕があるのか、この点も鍵になります。
しかし世界を見渡せば、そう都合よく行きそうにはありません。
アメリカにはシェールガス・シェールオイルがあり、ロシアには天然ガスがあり、中国は原発に力を入れています。こうした状況の中、日本が水素で世界をリードするために何が必要なのか。
最も強調したいのが、「技術立国から営業立国へ」という戦略の転換です。
私はディレクターとして、日本のメーカーの最先端技術開発の現場をドキュメントしてきました。
しかし、その珠玉の製品の多くが世界では主流になれず、市場の隅へと追いやられていくのを苦い思いで見続けてきました。
やはり、世界を巻き込んでいくには、よい技術だから使ってくれではなく、相手の都合と自分の都合をすりあわせながら、絶妙な提案を繰り出して交渉をリードしていく「営業力」こそが重要だと感じています。
そのためのとてもいい舞台があります。2020年の東京オリンピック・パラリンピックです。東京都は選手村を水素タウンとして整備する方針です。
世界の人たちに対して、この場で日本の技術の高さをアピールするとともに、各国の事情に合わせた絶妙な提案ができれば、日本が水素で世界をリードする、またとないチャンスになると思います。
舞台はもう、すぐそこに迫っています。
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水素社会の実現 東京都
2050年に160兆円市場、「水素社会」到来の巨大インパクト 日経
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