2014年11月26日(水) 埼玉新聞より引用編集
"幻のサツマイモ"お茶に 川越の神山さん、地元の「紅赤」原料に開発
ティーバッグ入りパック「いも茶」と、企画開発したサツマイモ料理専門店「いも膳」の神山正久さん=川越市小室 |
新商品「いも茶」の原料となる幻のサツマイモ「紅赤」 |
市場への出荷量が少ないため“幻のサツマイモ”と呼ばれる川越地区産の品種「紅赤(べにあか)」を原料に使用した「いも茶」が商品化され、関係者の話題を集めている。
紅赤を普及させようと、サツマイモを原料に懐石料理などを提供するサツマイモ料理専門店「いも膳」(川越市小室)を経営する神山正久さん(59)が企画、開発した。
これまでさまざまな業者がサツマイモのお茶の研究に取り組んでいるが、香りや風味が出ないため断念しており、商品化は初めて。紅赤の特性が茶葉にマッチしたとみられ、関係者から「香りとほんのりした風味が抜群」と高い評価を得ている。
神山さんは川越市出身。大学卒業後、都内の日本料理店などで料理を修業した。
地元で観光客らをもてなす川越をイメージした郷土料理店をつくろうと、1982年に同店を開業。紅赤を天ぷら用、四国や九州地方産の「紅高系(べにこうけい)」を加工用に仕入れ、懐石料理などを提供している。
■サツマイモ普及に尽力
この間、サツマイモを普及させようと、店敷地内にサツマイモ資料館をオープンさせたり、紅赤を普及させようと、6年前から市内のサツマイモ商品を扱う業者で結成した「川越サツマイモ商品振興会」主催の少年サッカー大会で、参加者らに紅赤の焼き芋を振る舞っている。
こうした中、市場に出回る数が少ない紅赤を農家に継続的に栽培してもらうおうと、出荷できない規格外のB級品の再利用を念頭に、昨年12月、千葉県の加工業者に「いも茶」の開発を依頼。
スライスしたイモを乾燥させ、いる作業を繰り返すなど試行錯誤の末、完成させた。
依頼された加工業者は「紅東(べにあずま)」や「クイックスイート」など別の品種でもお茶化を試みたが、紅赤以外の品種は香りや風味が出てこなかったという。
■紅赤を残したい
開発した「いも茶」は、まず個別に飲みやすくするため、ティーバッグで製品化した。10月から同市内のサツマイモ商品振興会加盟店28店舗で1パック(ティーバッグ10個入り)680円で販売している。
神山さんは「商売というよりも、紅赤を残そうというのが目的。お茶が継続されていけば、後世の人にも紅赤が残っていくのではないか。来年は1キロや500グラムなどいも茶の業務用や個人のお土産用のばら茶、ペットボトルの販売も検討したい」と夢を膨らませる。
問い合わせは、同店(049・243・8551)へ。
■紅赤
1898(明治31)年ごろ、浦和(現さいたま市)で発見され、川越地方で普及。風味や香りが良く、ほどよい甘さと口の中で自然に崩れる食感が良いため、天ぷらに最適とされる。
市場で普及している紅東と比べて、1本の茎になる作物は半分。収穫量の少なさから農家が敬遠し、価格も紅東の2倍以上するため、川越地区では数軒の農家が進物用の高級サツマイモとして栽培しているという。
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