埼玉で認知症カフェ設置相次ぐ 川越市は4倍
日経 2014/11/7
埼玉県内の自治体が、認知症の高齢者を抱える家族を支援する「認知症カフェ」を相次ぎ設置している。認知症患者や家族が集まり、専門家や地域の住民が相談に乗る拠点で、川越市は昨年度から約4倍に増やした。深谷市も11月下旬に設置する。県内では今後、全国でもトップクラスのスピードで高齢化が進む。地域での存在感は大きくなりそうだ。
川越市は認知症の高齢者や家族らが集う認知症カフェの開催場所を10月までに市内16カ所に広げた。昨年度までは4カ所で開いていたが、利用者からの要望もあり、市内全域に拡大した。今年度予算に関連経費として約140万円を盛り込んでいる。
カフェは公民館などでそれぞれ月に1回程度開き、認知症の高齢者や家族に加え、社会福祉士などの専門家や地域の住民らも参加する。1回に10~20人程度が集まり、お茶やコーヒーを飲みながら、雑談したり家族同士が悩みを相談し合ったりする。専門家のアドバイスも受けられる。参加費は100円程度の場所が多い。
川越市は2013年1月ごろから社会福祉法人などが運営する地域包括支援センターを中心に認知症カフェを始めた。首都圏では先行的な取り組みで、都内や県内の自治体関係者らの視察が相次いでいるという。
他の自治体でもこうした取り組みが広がりつつある。深谷市は月内に市内の大学やボランティア団体と連携して認知症カフェを設ける。27日に市内にある東都医療大学の学生食堂で始め、月に1回開く方針だ。同市の担当者は「認知症の高齢者や家族が安心して集える場を作りたい」と話す。
さいたま市でも今年度から市の事業に位置づけ、地域包括支援センターを中心に5カ所程度で開いている。三郷市も今年度から始め、現在は3カ所に広げた。春日部市も昨年から1カ所で開催している。同市は「歩いて行ける場所に集える場があることが理想。今後は数を増やしていきたい」としている。
厚生労働省の推計では介護が必要な認知症の高齢者は12年時点で305万人で、2025年には470万人に増える見通しだ。県は14年時点でこうした高齢者が県内に16.5万人いると推計している。
厚労省も施設中心の施策から地域で支え合う仕組みを構築する方針に転換しており、13年度からの認知症対策の計画では認知症カフェを推進する方針を盛り込んでいる。
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