アジアが光になる。マレーシア元首相。92歳で首相にカムバック

内を向く世界の中、アジアが光になる
マレーシア元首相 マハティール 2017/6/27 nkを抜粋編集
インタビュー

【※】マハティール元首相は、92歳で首相にカムバック。2018/05/10
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 ――昨年にトランプ米政権の誕生を予想し、警鐘を鳴らした。世界の変化をどう見ているか。

 「リーダーの方針が不確定なのは心配の種だ。これまでのリーダーと違う考えで動き、異なる事態が起きている。アジアはこれまで貿易だけでなく政治的にも米国に依存していた。米国の変化に合わせて、我々も変わらなければいけない。新しい同盟をアジア諸国とヨーロッパの間で構築していかなければならない」

 ――米国が環太平洋経済連携協定(TPP)離脱を表明した。

 「これまで多くの枠組みに米国が加わり、自分の考えを押しつけようとすることも多かった。残された国々は平等な形で発展させていかなければならない。例えばTPPは米国に有利な内容が盛り込まれており、改善できれば中国が加わる可能性も出てくるだろう」

 ――中国が存在感を高めている。

 「米国をしのぐ可能性もあり、役割は無視できない。協定などに中国を巻き込むことが重要だ。軍備増強や政治支配の強化から経済に目を向けさせるのにもつながる」

 ――南シナ海問題で平和的な解決は可能か。

 「東南アジア諸国連合(ASEAN)と中国の関係を変えていく必要がある。もっと平等な議論を重ねるべきだ。この地域に軍事力は要らない。米国による軍艦派遣は問題を解決しない」

 「中国による人工島建設や、北朝鮮のミサイル発射は脅威だ。それでも軍艦派遣は間違っている。求められるのは対話だ。中国は対話を通じて、北朝鮮や米国と良い関係をつくれるはずだ。一方が犠牲を強いるのは解決ではない。合意には妥協が要る。日本と中国がリーダーシップを発揮すべきだ」

 ――過激派組織「イスラム国」(IS)の影響を受けたテロなど新しい脅威も生じている。

 「テロは大きな武器がなくても起こすことができる。防衛を強めるだけでは解決できない。憎しみの根源を探るべきだ。マレーシアの独立時も心を勝ちとることで対立を解消していった」

 ――日本の役割は。

 「平和維持の仲介役になるべきだ。憲法改正は昔に戻ることになるのではないか。戦争放棄をうたった憲法は他国も見習うべきだ。ドローンを使って何千マイルも先を攻撃できる時代になってしまった。平和を保つために戦争の準備をするという考えはもう捨てるべきだ」

 ――生まれ変わっても政治家になるか。

 「政治を選ぶ。一人の人間が大きく国の進歩に貢献できるからだ」

(聞き手は編集局次長兼Nikkei Asian Review編集長 渡辺園子)

マハティール
 マラヤ大医学部卒、開業医を経て1964年下院議員。81年から22年間マレーシア首相を務め、成長をけん引した。91歳。

息子や娘を日本に留学させるなど、大の親日家

名言
「日本の戦争責任を問うならば、それより以前、非人間的な支配と収奪をつづけた欧米の宗主国の責任はどうなるのか。日本が来たことで植民地支配から解放され近代化がもたらされた」

「日本は非西欧的な価値観をもって世界経済のトップまで上り詰めた国である。自分の価値観を強要することなく、多元的な価値観や文化を受け入れながら成功していった唯一の国家であった」

【cf.】
マレーシアのマルチメディア・スーパーコリドー その現状と展開(32,000語) 2012年
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桑原政則 注

* 賢い日本に
   昭和の陸軍は、世界の現実よりも思想(狂気)を重んじました。
      アメリカ、中国、イギリス、オランダ、ソ連とも、
      一国のみで、
      戦い、国を滅ぼす
という暴挙を犯しました。
司馬遼太郎は、
    幕末の長州のドグマ(独断説)が、昭和陸軍の狂気を生み、亡国に導いたと考えていました。

山口県(長州)は、最多の8人の総理大臣を出しています。

日本のリーダーは、
強い日本、正しい日本をつくるのではなく、「賢い」日本によって、世界をリードしていただきたいものです。

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