ウオーキングシューズ 履き分けの美学
街用や公園用… シニア世代、見栄え意識
体力づくり用や、週末の買い物との兼用、自然を楽しむ公園用――。ウオーキング人気が高まるシニア世代で、複数のシューズを履き分ける人が増えている。少しでも体に負担をかけず快適に、見た目も気にしながら効果的に歩きたいといった行動的な人が目立ってきた。メーカー側もこうしたニーズに応える商品を一段と充実し始めた。
「いつも履いているのはしっかり歩くときの運動用。朝の犬の散歩はスカート姿が多いので、合うものを探しにきた」。西武池袋本店(東京・豊島)を訪れた都内在住の主婦(68)は4~5足試着し、落ち着いたデザインで合わせやすいタイプを購入した。「今度はヒール付きを買いたい」
複数のウオーキングシューズを履き分ける傾向について、同売り場の内田健介スポーツ部係長は「ウオーキングが日常に浸透するなか、1足で済ますより目的別に選ぶ人が多い」と話す。今春、品ぞろえを2000品目と従来より25%増やし、3~7月の売り上げは前年同期比4割増えた。
ウオーキングシューズで年間10億円を売る京王百貨店新宿店(東京・新宿)も4月から前年実績を上回る。特に買い物やレストランなどでも履けるタウン用が人気で「買い物のときもしっかりと歩いて歩数にカウントしたい」(都内在住の58歳の主婦)との声もある。
京王百貨店は「震災後に購入して履きやすさを実感した消費者が、目的やデザインなどを重視して継続購入している」とみる。アシックスではシックなデザインが豊富なブランド「ペダラ」の売り上げが4~7月で前年同期比2割増えた。
メーカーも用途に応じた様々な商品を投入している。ミズノは安定して歩けるよう、ぐらつきを抑える機能を持つシューズ「LD504」などを展開。長時間歩く旅行用などに人気を集める。
丸紅フットウェア(東京・中央)が来春展開を始める「アンダンテ」は日常生活にウオーキングを取り入れられるよう、外観は一般的な革靴ながら、安定歩行できるように内側に鼻緒を付ける。
日本ウオーキング協会(東京・文京)によると全国で年間約3000回の大会が開かれている。内閣府の調査でも、経験のある運動の中で最も多いのがウオーキングの48.2%で、愛好者は増加の一途。主役は中高年やシニア層で「大会参加者は60代が3割を占め最も多く、50代、70代の順」(同協会)という。
ウオーキング歴4年の主婦(60)は「2足あるけれど、長時間歩けるようになったので、健康づくりのために、もっと軽い靴を探している」と話す。手軽な運動としてウオーキングが根付き「熟練者」が増えたこともシーンに応じた使い分けにつながっているようだ。
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