酒蔵で映画 地域の拠点へ改装 深谷市(ふかやし)

15-1】(埼玉新聞社、文と写真・江利川義雄)引用編集
深谷シネマ」の周辺では、イベントも開かれている。2013

 旧中山道の宿場町・深谷市(ふかやし)で、廃業した造り酒屋の建物群を地域の拠点に再生しようと、まちおこしが進められている。
中心は酒蔵を改装したミニシアター「深谷シネマ」。
敷地内には古本屋や交流拠点、軽食堂もあり、幅広い世代が集う場になりつつある。

 切り妻屋根の蔵の中にはスクリーンがかかり、段差のあるフロアにゆったりとした座席が並ぶ。
お盆明けに上映されたのは、有川浩さん原作の「県庁おもてなし課」。
まちおこしにかける地方の人たちの物語だ。

 深谷シネマは、つくられていた清酒の銘柄にちなんで「七ツ梅酒造」と呼ばれた酒蔵の面影を残す。
創業約300年の歴史を誇った老舗の敷地にはれんが煙突がそびえ、重厚な倉庫が今も残る。

 造り酒屋は2004年に廃業、建物群はロケ地に使われる程度だった。
10年に一般社団法人「まち遺(のこ)し深谷」が維持管理を担い、NPO法人「市民シアター・エフ」運営の深谷シネマが移転したことで生まれ変わった。

 二つの団体は、ともに市民が主体。
困難はあったが、深谷シネマ館長の竹石研二(たけいし・けんじ)さん(65)は「映画館とまちづくりはセット。
移転先を、ここにしたのは正解だった」と話す。
まち遺し深谷の専務理事大塚博(おおつか・ひろし)さん(64)も「深谷シネマが移転してくれて、地域おこしの歯車が大きく動いた」と、手応えを感じている。

 3千平方メートルを超える敷地に残る建物には豆腐店や講座を催す寺子屋、鬼瓦づくりの工房など約10店舗が入った。
しかし、大塚さんは「まだ使われていない魅力的な建物も多い。
ライブハウスや寄席もつくりたい」と、夢を広げている。



 【埼玉新聞社】
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歴史ある建物に存在感
 JR深谷駅から北に歩いてすぐの市街地に旧七ツ梅酒造はある。約300年の歴史を刻んだ建造物は存在感がすごい。レトロな異空間は若者にも好評で歩くだけでも楽しい。映画を見て散策してほしい。魅力的な場所だ。(埼玉新聞社・江利川義雄)

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