増える訪日観光客 「観光大国」日本を目指すために、できること

増える訪日観光客 「観光大国」日本を目指すために、できること 
2017.07.24   The liberty を抜粋編集


《本記事のポイント》
訪日観光客が年々増加している
観光業は、海外の人に日本の良さを知ってもらうチャンス
日本の観光業は、まだまだ発展の余地がある

観光庁は、2017年4~6月期の訪日外国人の旅行での消費額が1兆776億円となり、四半期では過去最高の消費額となったと報告した。

上半期の累計では、初めて2兆円を突破し、訪日外客数トップ5である中国、韓国、台湾、香港、米国の消費額が、全体の消費額の74%を占めた。

その中でも韓国や香港などの訪日外国人の消費額が、前年同期に比べ増加し、全体を押し上げた。

政府や企業、地方自治体が連携して日本観光のPRを行う「ビジット・ジャパン事業」が2003年に始まって以降、消費額だけでなく、訪日客数も増加し続けている。日本政府観光局が発表した6月の訪日客数は、前年同月比18.2パーセント増の234万6500人に上った。


訪日客に伝わる日本の素晴らしさ

観光業によって訪日客が増えることは、日本の価値観や素晴らしさを輸出するチャンスになる。

明治維新前、福沢諭吉らが咸臨丸に乗ってアメリカに行き、ショックを受けて帰ってきたように、普段、反日教育を受けている中国人にとっても、訪日が「ショック」を与え、日本人に対する価値観を変化させるきっかけになるのではないだろうか。

実際に、訪日した外国人留学生が、町にごみが落ちておらず清潔なことや、日本人の礼儀や時間を守る観念、他人の気持ちを思いやる心、つまり「おもてなし精神」に感動したという話は多い。日本の観光は、外国人がそういった日本の魅力を知り、日本に対する見方を変えるきっかけにもなる。


まだまだ観光業は発展できる

とはいえ、日本の外国人観光客数は、世界で16位、アジアで6位であり、第1位のフランスに比べれば、その数は6分の1に満たない(2015年度)。もう一段の工夫をすれば、まだまだ訪日する人の数を伸ばす余地はある。

例えば、その一つの方法は、インフラ整備である。

北海道大学特任教授の小磯修二氏は、本誌2016年11月号で、北海道新幹線の開通後、「新幹線に乗って観光してみたい」というニーズが生まれたと語っている。その上で、インフラの整った地方都市が、積極的に観光開発を行うことで、さらなる観光消費を期待できると指摘している。(参考URL: http://the-liberty.com/article.php?item_id=12246 )

また、現在はリニア新幹線の開発も進んでいる。リニアが日本全国を通るようになれば、新幹線よりも大幅に移動時間を短縮でき、交通機関の選択肢も増えるだろう。

もう一つの方法は、観光大国フランスのマーケティングを参考にすることだ。

フランスのホテルなどには、観光客の国別対応マニュアルが用意されている。「観光客に不親切」というフランスのイメージを覆そうと、観光協会が徹底的にリサーチし、つくったものだという。

その他にも、フランスのノルマンディー地方観光局などは、「日本人ツアー客は仲間と同じ広さ、デザインの部屋を好む」という観点から、ホテルの部屋を提供したり、「日本人は印象派絵画が好きな人が多い」ため、印象派フェスティバルの開催時期は、日本人の集客に力を入れている。

このように、国民性を研究し、それに合ったサービスを提供する工夫がなされている。

また、観光客が比較的少ない閑散期、フランスでは、食品や産業用機械、航空サービスなど、さまざまな業種の「見本市」を行い、世界各地からビジネス客を集めているという。ビジネスに訪れた客が家族と共に観光をしていくことで、結果的に、閑散期にも観光客の呼び込みにつながるというわけだ。

こうした努力や工夫次第で、日本が観光大国になる余地は、無限にあるのではないだろうか。(中)

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