李登輝:新渡戸稲造の影響で農業経済学に進んだ台湾元総統

李登輝
アジア第一の哲人政治家といわれる李登輝が農業経済学に進んだのは、
新渡戸稲造の影響によります。

台湾人の李登輝には『「武士道」解題』(小学館)という新渡戸稲造の『武士道』についての著作があります。

李登輝は中学生の時すでに鈴木大拙を読み、『臨済録』をひもとき人生の指針としていました。
さらに『漱石全集』、阿部次郎の『三太郎の日記』、倉田百三『出家とその弟子』、『古事記』、『玉勝間』、『源氏物語』『枕草子』『平家物語』の愛読者でもありました。

高校での愛読書は、
    西田幾太郎『善の研究』、
    和辻哲郎『風土』、
    中野好夫『アラビアのロレンス』、
    アインシュタイン『物理学はいかにして生まれたか』、
    『ファウスト』、
    『若きウェルテルの悩み』
などで、岩波文庫だけで700冊以上も所有していました。

1942年8月台北高校を繰り上げ卒業し、同年10月京都大学農学部農業経済学科に入学しました。

農業経済をめざすようになったのは、農村の小地主のせがれに生まれ、早くから農業問題の矛盾に疑問を抱いていたからであり、新渡戸稲造に出会ったからでした。

新渡戸稲造は、後藤新平・民政長官の懇請により、台湾の殖産事業に参画しました。
砂糖キビの栽培改良や製糖工業の育成に務め、台湾産業発展の礎を築きました。

李登輝の卒業論文は、『台湾の農業労働問題の研究』でした。

李登輝は、日本独自の伝統を築きあげてきた明治期の大先達を高く評価しています。
奇しくも
    新渡戸稲造(岩手県)、
    西田幾多郎(石川県)、
    鈴木大拙(石川県)、
    阿部次郎(山形県)
らは、奥羽越列藩同盟の地で生まれ育っています。
台湾の境遇に共鳴しやすい環境で育ちました。

また北陸・石川県出身の八田與一(はったよいち)は、台湾の中学教科書に業績が詳しく紹介されています。
嘉南の大灌漑工事を完成させました。

李登輝前総統 靖国参拝後の講演 【2】2007年

台湾元総統・李登輝の読書歴

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