大河ドラマ「平清盛」 低視聴率のわけ(NK2012/8/10)

 【メモ】低視聴率の理由
  • 朝廷の権謀術数や平家一門の内向きの物語ばかりで、人間関係がわかりにくい。
  • 物語性が薄い。
  • ドラマのレベルが低い。

文化往来大河ドラマ「平清盛」 低視聴率抜け出せず

 NHK大河ドラマ「平清盛」が低視聴率の泥沼から抜け出せない。2月半ばから10%台前半が続き、五輪放送と重なった8月5日の回では7.8%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)と、記録が集計される1989年以降で最低となった。これまでの31話平均は13.1%で、過去50作でワーストだった「花の乱」(94年)の14.1%を現時点で下回る低迷ぶりだ。
 「挑戦が、全て裏目に出ている」と上智大の碓井広義教授(メディア論)はみる。まず、題材。NHKは日本人にとって悪役の印象が強い清盛像を「変える」と意気込んで制作を始めた。戦国や幕末など受け手が好む舞台をあえて避けたが、「源義経以前の時代に対して人々はなじみが薄い。朝廷の権謀術数や平家一門の内向きの物語に共感しにくいし、人物の相関関係も分かりづらくて理解できなかった」(碓井教授)。
 今日の時代劇が抱える共通の課題も浮かび上がる。文芸評論家の縄田一男氏は「地上波で時代劇を作る機会が減り、脚本の構成、俳優の所作といったドラマ作りの基本が継承されていないのを感じる」と語る。デジタルハイビジョンが登場して、映像表現には様々な工夫が凝らせるようになった。だが、その前に「立ち戻るべき原点がある」と縄田氏はみている。