「棋士(きし)のまち」売り出す 兵庫県加古川市

19-2】(神戸新聞社、文・武藤邦生、写真・井上駿)引用編集
将棋ファンでにぎわう井上慶太九段の教室

 兵庫県加古川(かこがわ)市で毎年秋、若手棋士を対象にした日本将棋連盟の公式戦が開かれている。
同市が主催する「加古川青流(せいりゅう)戦」の決勝だ。
3回目の2013年は佐々木勇気(ささき・ゆうき)四段(19)が制した。

 09年から「棋士のまち」を名乗り、将棋を用いて、まちのPRを続ける加古川市。
プロと呼ばれる人は、女性や引退棋士を含めても全国に300人足らずで、約40万人に1人。
ところが、人口27万人の同市には、棋王3期、王将2期のタイトル歴を持つ久保利明(くぼ・としあき)九段(38)をはじめ、5人のゆかりの棋士がおり、それにちなんで名づけられた。

 タイトル戦の誘致などに取り組む一方、11年には、自治体主催の棋戦としては全国2例目となる加古川青流戦を創設。
若手の登竜門として、プロ四段や棋士養成機関「奨励会」の三段らが出場し、半年かけてトーナメント形式で争う。

 第1回で優勝した同市出身の船江恒平(ふなえ・こうへい)五段(26)=当時は四段=ら優勝者の、その後の活躍も目立ち、ファンの間で「加古川」の名前が浸透しつつある。
「職員らが出張先で、将棋で有名なまちですねと言われることも出てきました」と、青流戦の主催団体の一つ、同市ウェルネス協会の栗山隆博(くりやま・たかひろ)次長(50)は話す。

 なぜ、これほど高い割合で棋士が生まれるのか。
大きな理由が、同市在住の井上慶太(いのうえ・けいた)九段(50)が開く将棋教室だ。
船江五段や稲葉陽(いなば・あきら)七段(25)を育て、名伯楽としても知られる井上九段の指導を受けようと、岡山や四国などからもプロを目指す若者が訪れ、腕を磨く。
加古川勢が勢いを増すほど、まちの名も広まる―。
関係者の期待は膨らんでいる。


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  豪華な解説も見どころだ。
ゆかりの棋士5人も「棋士のまち」の活動に積極的。
加古川青流(せいりゅう)戦の決勝などでは大半がそろい、豪華メンバーによる局面の解説が恒例となっている。
中でも話芸にたけた神吉宏充(かんき・ひろみつ)七段(54)と、ひょうひょうとした井上九段の解説は必見だ。

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